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-novels space-

- 夢見妙 -
yumemimyou


第一章   変貌


・・・四 夢の旅人・・・

〈異変の兆し〉

  ここに六歳の少年がいる。
「僕のまわりの人間は、みんなどうしちゃったんだろう、まるで人形やロボットのように、自分の意思がないみたいだ、なんだかいつも誰かに見られているように感じるのは気のせいなのかな? なんでこんなにも寂しいんだろう、今夜もまた眠らないといけないのか、怖い、眠りたくはないんだけど、どうしても眠ってしまうんだ、いやだー!・・・・・。」
「やめてぇ! 僕の家を壊すのは、誰か止めてぇ! お願いだから何とかしてぇ!」
 彼の目の前で二台の大きなブルドーザーによって家は無惨にも壊されていく、その理由を知ってか知らずでか、周りの人々は無表情な無気味な笑いを浮かべ、少年の言葉にはなんの反応もなく、ただその成り行きを見つめるだけである。
「やめさせてぇ! おじさん! おばさん! 止めてぇ!」
 少年は、何度も何度も人々に向かって叫んだ、しかし、誰も彼の声など聞こえはしない、相変わらず人々は無表情な無気味な笑いを浮かべ眺めているだけだ。少年はあまりの恐ろしさに叫び声を上げた。
「やだぁー! ぎゃあー!」
 周りの人達の冷ややかな眼差しが彼を一層恐怖へと陥れた・・・・・・・・・・・・・・。
 少年は、あまりの恐ろしさの中眠りから覚めた。しかし、その恐怖は少年の脳裏から消え去る事はなかった。どうしようもない恐ろしさの中、何かに助けを求めようと隣に寝ていた母の顔を見たとき、その無表情な寝顔に、恐怖心がよみがえる。
「ああっ、やだぁー!」少年はあまりのショックにうろたえた。彼は他の家族の寝ている部屋へと助けを求めた。しかしそこにも、やはり無表情な寝顔があった。夢と現実が重なり合い、恐怖心は増すばかりである。
「家の人たちもみんな人形かロボットなんだ!」 一瞬にして今まで信じていたものが崩れていった。そのとき、何もかもが信じられなくなってしまった。
「一人ぼっちなんだ!」まだあどけない六歳の少年は、今、まさに孤独感に打ちひしがれていた。
「どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしたら良いの?」
 皆がぐっすりと寝静まった真夜中、少年は一人あてもなく、さ迷い歩く。ただ、何か助けを欲して。どれほどの時が経ったであろう、外が白白として来たころ、さすがに少年は疲れきって寝てしまった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「んっ! なんだろう?」
 まだ夜も明けきらぬ早朝、ふと目を覚ました少年は、何を思ったのか二階の窓から、上半身を乗り出して山のある方角を眺めた。辺りはまだ薄暗く静まり返っている。
「うわあっ! なんて綺麗なんだろう! なんだあれは? 何をしているんだろう?」
 彼の見たものはこの世のものとも思えぬ情景であった。それはあたかも神代の祭りとでも言ったような、辺り一面コンポーズブルーと言おうか、時とともに色彩は千変万化を織り成す自然の妙技、黄金色に包まれたかと思った次の瞬間、中央より真っ赤に染まってゆく様は、まるで大自然による万華鏡である。少年はくぎ付けになった。
「アレは何だろう? 金色に光る大きな炎を囲むように、幾つもの人の形をした黒い影が踊りまわっているのは?」
 少年は山の中腹に観るその不思議な光景に時を忘れ見入っていた。いつしか辺りは明るくなり朝の訪れと共にそれらは消え失せた。
「なんだったんだろう? なんだか眠くなって来たから、もうちょっと寝よう」
―――――――――――――――――――――・・・・・・・・・・・。

五 夢の旅人  〈記憶のかけら〉につづく


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