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-novels space-

- 夢見妙 -
yumemimyou


第一章   変貌


・・・五 夢の旅人・・・

〈記憶のかけら〉

  「龍ちゃん! 西村君が来ているよ、起きなさい、わかった? 玄関で待っているからね、起きてきなさい」
「んっ、なぁに? だれが来てるって? にしむら? んーんっ、何しに来たんだ?」
「何しに来たんだなんて言ってないで・・・西村君、なにか話したいんだって」
「んっ、わかった・・・・・何しに来たんだろうなぁ、もう遊ばないのに」うなだれながら階段を降り玄関に行く。
「龍ちゃん、寝てたの?」
「うん、西村君なんか用?」
「今日、遊ばないか? 何か面白いことをして遊ぼうよ、いいだろ?」
「んっ?・・・・・・もう君とは遊べないんだ、だから二度と僕に声をかけないで・・・僕の家にも来るなよ」
「どうして龍ちゃんは最近僕と口も聞いてくれないんだよ」
「なんでもいいから、もう来るなよ、君とは遊ばないんだから」
「どうして、なんで遊んでくれないんだよ」
「そんな事は・・・・・、お前のお母さんがいけないんだ」
「お母さん? お母さんが、なんでいけないんだよ、僕が龍ちゃんと遊ぶ事と、どうして関係があるんだよ」
「それは・・・、それじゃあ言うよ、前に、きみの家に遊びに行ったとき、きみの妹も一緒に三人で、いろんな絵を描いて遊んだよな」
「ああ、覚えているよ、たしかあの時は、僕がリードの付いた縦笛を買ったんで、吹いて見せたんだ、あと手作りのギターも」
「そうだったっけな、君の作ったギターで一緒に弾いて遊んだんだよな、そのあとで君のお父さんのカメラコレクションを見せてもらったんだ、いいカメラがいっぱい有ったな」
「そうそう、それから、モゾウ紙を四枚も横につなげて、大きな絵巻物を作ろうって三人で絵を描いたじゃないか、覚えているよ、あの日は、本当に楽しかったよな」二人はあの日の事を思い出し楽しそうに話した。
「あの時までは本当に僕も楽しかったんだ、でもあの後、きみのお母さんが僕に、こう言ったんだ、そんな絵を描いたり、遊んでばかりいると不良になってしまうからね、もう直中学生になるんだし、うちの子は勉強をしなくてはいけないんだから、遊んでばかりいるような子は、これからはもう、うちの子とは遊ばないでちょうだい、って言われたんだよ」
「そんなこと言うはずがないよ」
「言われたんだから、しょうがないじゃないか、本当の事だよ、お母さんに聞いてみればわかるよ」
「お母さんが何を言ったか知らないけど、僕は龍ちゃんと遊びたいんだ」
「僕は、あんなバカにされたような事を言われてまで君と遊びたいとは思わない、それに、僕は将来画家になるつもりなんだ、絵を描く事をあんな言い方された事は一生忘れないし許さない、僕にとって絵を描く事は遊び以上のことなんだ・・・・・・。もう二度と僕の家には来ないでくれ!」
龍生は淋しさと情けなさ、そして悔しさとが入り交じった気持ちとで、思わず涙が溢れそうになったが、涙は見せまいとグッと堪ええながらその場から走り去り、部屋に飛びこんだ。
「くそ! 一緒に遊んだ方が楽しいに決まっているじゃないか、でも決めたんだ、もう遊ばないって、くそ! バカやろ、バカやろ、バカやろ・・・・・どうしても許せないんだぁ! ちきしょう!」龍生は西村君が悪いわけではない事はわかっていた。しかし西村君の母親に対する怒りがどうしようもなく、この様な行動へと走らせてしまうのだ。友達への冷たい仕打ちがどれほど相手の心を傷つけてしまうのかという事にも、心を痛めながら、どうし様もない自分自身に対して涙を流した。ベッドに顔をうずめながら、いつしか龍生は悲しみの中、眠りに落ちた・・・・・・・・・・・・。

六 夢の旅人  〈時を越えて〉につづく


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