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yumemimyou

第二章 ミセス・ロビンソン


・・・一〇 今日のところはご馳走様・・・


 夏休みも間近な、ある晴れた日。いつものように裏庭から聞こえてくる例の声。
「オーイ、みんな出ておいで、いるんだろ、夢見、知念、竜崎、ちょっと用事があるから出ておいで」その声を聞いてみんな部屋から出てきた。
「オイ、ミセス・ロビンソンが呼んでるぞ、何の用だろうな」
「リュウちゃん、ちょっと様子を見てこいよ」と、いつものように竜人が言う。
「エー、僕が行くのかよ、竜崎が行って来いよ」
「バイトだよー、アルバイト、早く出ておいで」ミセス・ロビンソンが庭で叫んでいる。
「バイトだってよ、なんだか分かんないけど、ちょっと行ってみようか」三人は裏庭に出ていった。そこにはミセス・ロビンソンが待っていた。普通の格好で
「遅いじゃないか、何ぐずぐずしてたんだい」
「あっ、すいません」意味もなく謝る三人。
「お前たちに頼みたいことがあるんだけどね」
「はぁ・・・?」何を頼まれるんだろうと不安げに顔を見合わす。
「道路との間の扉と柵が壊れているから直してもらいたいんだよ、ついでにペンキも塗ってくれるとありがたいね。お前たち、美術をやってんだろ、モノを造るのは専門なんだから、それから草むしりも頼むよ、ちゃんとアルバイト代は払うよ、ペンキやその他の、かかった材料代は別に払うから、ちゃんと請求しな、あたしはちょっと買い物に行ってくるから後は頼んだよ」
「はい、わかりました、きっちりとやっておきます。なっ、君達」竜人がベンと龍生の肩を叩きながら調子よく言う。
「何が、なっ、君達だよ」「調子いいんだからほんとに」二人はつぶやいた。
「あっ、そーだ、バイト代は、いくら払おうかね、一人三千円ぐらいでいいかい、五千円ぐらいは払うようかね、まあいいや、仕事の出来具合で決めようか、それじゃ、後でね」さっさと出かけていった。
「それじゃ、はじめようか」もうすっかり夏である、三人は汗をかきながら、作業の準備をはじめる。
「それでは、まず作業をスムーズに行うための計画会議を始めるとするかな、全員集合」また、竜人のいつもの仕置人ならぬ、仕切人が始まった。
「仕事の個所は、扉と、柵の部分と、ペンキ塗りである。ついでに草むしりと」
「そんなこと、なにも改まって言わなくっても分かってるって」ベンが口を挟んだ。
「黙っていたまえ、これから計画を話すから、エーとだな、ここと」いつのまにか、木の枝を持って意味もなく地面に描いている。なぜかその描いている所を覗く二人。
「仕事を分担して行うことにする。柵を直す者、扉を直す者、ペンキを塗る者とに分かれての作業遂行、以上解散、なんてな」
「なんてな、じゃないだろう、それじゃあさ、僕は扉を直すよ、竜崎は柵な、ジーンはペンキを塗っていってくれよ、後は適当に手伝いながらやろうか」
「オッシ、わかった、それじゃあ道具を取りに行こうか」ベンは家の中に道具を取りに行った。
「ペンキはボイラーの下の棚に入っているよ、まだあったと思うけど」龍生は扉の状態を見ながら竜人に話し掛けた。その後、家の中に必要なものを取りに行った。 以前から部屋の中に飾り棚や目隠しに板でフェンスなどいろいろなものを作っているので材料には事欠かない。 そんなこんなで要領よく作業は進み、大方の作業は明るいうちに終わった。最後の仕上げに三人揃って草むしりをしていたときの事。
「なに? 夢」ベンが突然話し掛けてきた。
「なにって何が?」龍生は意味がわからず言葉を返した。
「んっ?」ベンは納得がいかない顔をしながら首をかしげてまた作業についた。
「なんだよ、いま肩を叩いたろ」少々怒り気味である。
「僕はやってないよ、ジーンじゃないのか」
「ヒッ、ヒッ、ヒッ、ヤア、ベンソン君」楽しそうである。
「知念か、やっていたのは! 君―ぃ」長い腕を伸ばし竜人の首を絞める真似をする。
「木にぶら下がっちゃうもんね」竜人はベンの骨ばった鎖骨にぶら下がる真似をする。身長差二十センチ以上である。
「また始まっちゃったよ、冗談が」龍生はいつも傍観者として見ている。
「後は、残りの草むしりと後片付けをしたら終わりだな、さぁ、がんばろう」そうこうしていると、ミセス・ロビンソンが買い物から帰ってきた。
「はかどっているじゃないか、さすが画家を目指しているだけのことはあるねぇ。ごくろうさん、バイト代奮発するか」
「あっ、どうも、ありがとうございます」うれしそうにしていると。
「おまえら、ゲンキンなやつらだな、それじゃあ、もうひとつサービスしてやるか、これからうちで美味しいものをご馳走してやるよ、材料はバッチリだよ、これから準備をするから、お前たち、早く片付けてシャワーでも浴びておいで」 三人は順番にシャワーを浴び、汗でグッショリとぬれた下着を取り替えて、サッパリとしたところで一休みしてからロビンソンの家に向かった。といっても5メートルといった距離であるが、とりあえず玄関で声をかける。
「あのー、エーと、ミセス・ロビンソンじゃあへんだし、ロビンソンさんでもおかしいし、おばさんじゃあ、叱られそうだしな、なんて呼べばいいのかな、まあいいか」龍生が一人考えあぐねていると。
「リュウ、なに独り言いってんだよ、早く言えよ」と竜人。
「こんばんは、食事に来ました」とマイペースなベン、竜人と龍生は顔を見合わせた。
「そんなところでゴチャゴチャ言ってないで、勝手に上がっておいで」 ミセス・ロビンソンは台所で食事の準備をしていた。
「ちょっと待っといで、部屋の中でも見てな」とは言っても、部屋の作りは彼等の所といっしょで、しいて言えば置いてある物が違うだけで、かといって勝手にそこいらじゅうのものを触りまくるわけにもいかず、ウロウロして待っていると。
「椅子にでも座ってゆっくりしてな、後でおもしろいものを見せてあげるから」と、ミセス・ロビンソンが変な含み笑いを浮かべながら言った。 「じゃあ、僕はここに座ろ」まずは龍生が。
「あっ、そこはワシがいいな」とベン。
「ベンソンは、そっちに座れよ、俺は真中かな」と竜人。
「そんなの、どこだっていいだろう」と龍生。
 テーブルの上には、すでにご馳走が並んでいた。三人は労働をした後なので、だいぶおなかもすいていた。
「オォ、結構うまそうなものがいっぱいあるな」とベンがもみ手をしながら目を丸くしてと言ってもメガネの奥なのではっきりとは見えない。
「鼻水がたれてるぞ」竜人がからかう。
「それを言うならよだれだろ」と透かさず返す。
「変なボケ突っ込みしてんなよ」龍生は、まじめさを装う。
「さあ、お前たち、お腹も減ったろう、それより、まず冷たいビールで乾杯といこうか」 今作って来た料理をテーブルに置き、冷蔵庫にビールを取りに行った。
「もう、すごくのどが乾いていたんだ、いいねぇ、冷たいビール、やっぱ夏は冷たいビールに限るよな」龍生は思わず言葉がこぼれた。
「おまえの場合、夏に限らないだろう」ベンがすぐさま突っ込みをいれる。
「ほっとけ、大きなお世話だ」
「それじゃあ、今日はご苦労さんだったね、それから、お前たちとあたしの未来の成功と幸福を願って、乾杯」
「チェリオ、うっまい、やっぱこれだね」と竜人。
「ご馳走もいっぱいあるだろ、勝手につまみな、ビールもどんどん飲んどくれ、たくさん冷やしておいたから」
「遠慮なくいただきます」とベン。
「ベンソン、遠慮なんてしたことないんじゃないか?」と竜人。
「もう、そのぐらいで良いいよ」と龍生。
「お前たち、絵を習っているんだろう、やっぱし将来は画家になるんだろうね、有名になったら、絵一枚何百万にもなるかもしれないんだよね、大金持ちになるかもしれないね、がんばんな、いつかそうなった時に会ってみたいね、楽しみにしてるよ」
「そう言えば新聞記事で見たんですけど、タクシーに二百万円入った封筒を落として気づかなかった売り絵画家の話が載っていたんだけれど、ふつう二百万も落としたら気がつくよな、タクシーの運転手が慌てて封筒に書いてあったところに連絡したら、 慌てもしないで落ちてましたかって、人事のようだったって書いてあったけれど、すごいよな、いつでもそのくらいの現金はポケットに入っているって言うんだから売り絵画家もいいかもな」龍生は先日新聞で読んだ記事を話した。
「そうだ、お前たちにいいものを見せてあげるよ」 ミセス・ロビンソンは四畳半ほどの一番狭い部屋に案内した。
「お前たちこっちに来てごらん」部屋に入ると左の窓ぎわに、棚がありその上には装飾品や本などが置かれていた。 正面の壁の右端には本棚があり英語で書かれたいろいろな本があった。
「棚の上に積んである雑誌を見てごらん、修正なしだよ、すごいだろう」
「何がすごいんだ」龍生は思った。 棚の上にはアメリカ版のプレイボーイやペンタハウスなど、他にもアダルトな雑誌がいろいろと積んであった。
「見たいだろ、本物だよ、お前たちにはちょっと刺激が強いかな」
「んっ! 見たい」と心の中で言った。
 三人が見たそうな顔をしていると、ミセス・ロビンソンは三冊ほど手に取り、一人ずつに手渡した。龍生はその雑誌を開き、すごい写真はないかとちょっと恥じらいぎみに探していると。
「そこまでだよ」いきなりの中止命令。
「これは嫌がらせゲームかよ!」心の中で突っ込みを入れた。
 龍生はすごい写真に出くわす前に取り上げられてしまった。〈ここですごい写真と言うことについてはあまり詮索する必要はない〉
「米軍の基地からボブがいろいろと持ってくるんだよ。お前たちには手に入らないだろう? ほらここにもこんなにたくさんあるんだよ」 ミセス・ロビンソンは棚の下の扉を開けて見せた。たしかにそこには山と積まれたエロ雑誌があった。雑誌の中を確かめた訳ではないので、本当にエロかどうかは定かではない。
「ペンタハウスやプレイボーイだったらエロだろう」「そうか」たわいもない会話である。
「いやみな女だな」龍生は、ミセス・ロビンソンに聞かれないようにささやいた。
「あんなの沖縄にいればいくらでも手に入るさ」竜人も小声で言った。
「あっそう」ベンは相変わらず、なにも動揺していないと言った様子で口をつきだし、うなづき返事。
「ちょっと、お前たちこれを見てごらん」と自慢そうに指し示した壁には、クラッシック調の写真が五・六点額に入って飾ってあった。
「これはね、わざわざこういう物を作っている知り合いに作ってもらったんだ、洒落ているだろう」
「えぇ、洒落てますね」龍生は調子を合わせて返事をした。
「どうやって作ったかわかるかい」
「はい?」龍生は興味津々と言った様子で身を乗り出し写真に顔を近づけ観る。
「モノクロ写真に彩色してあるんだ」と龍生が独り言を言う。
「おまえたち美術をやってるんだからわかるだろうけど、これはね、白黒写真に色を塗ってカラー写真のようにしてあるのさ、普通のインクじゃあ塗れないんだよ、特殊なインクらしいよ。わかるかい」
「はい、前になんか聞いたことがあります」と龍生が言う。
「昔の写真みたいでいいだろう」とミセス・ロビンソン。
「感じがいいですね」愛想笑いで龍生。
「色味がきれいだな」と、すまし顔でベン。
「まあ、アンティークな感じでいいんじゃない、まあまあかな」と、軽くかわして竜人。
「テーブルに戻って、もう少し飲むかい」とミセス・ロビンソンがビールを取りに行った。
「おまえたち三人の他にまだ誰か部屋にいるのかい? 窓越しに見たんでハッキリとはしないけど、人影が見えたような、薄暗くてぼんやりとだけれどもね」ミセス・ロビンソンは真面目な顔で言った。そこには冗談を言っている様子はなかった。
「怖い事言わないで下さいよ。居るわけ無いじゃないですか」龍生は、気味悪く思った。
「泥棒って言っても、盗られそうな物もべつに無いしな、逆に金でも置いて行ってほしいよな」ベンは何を考えているのか。
「君ー、ゴチャゴチャ言ってないで早く見て来なさい」竜人が言う。
「人に命令するな、おまえが行けばいいだろ」
「いやー、竜崎君、君はみんなから期待されているのだよ、なっ! がんばってくれたまへ」パンと肩を叩き、おだててやらせようとする竜人。
「そんな、おだてられたってやだよ、知念が行けば」
「いやー、ぼくはそういうタイプじゃないからなぁ」
「そういうタイプってどんなタイプだよ」
「一言じゃあ言えないな」
「じゃあいいよ、二言でも三言でもいいから言えよ」
「お前たち、さっきから何をゴチャゴチャ言ってんだい、それより、さっき本当に見かけたんだよ、冗談じゃないんだからね、早く確かめておいで、みんなで行けばいいじゃないか、行ってきな!」ミセス・ロビンソンが、はやりたてる。
「じゃあ、三人で行くか」しぶしぶ三人そろって見に行く。




 
「コラー! そこに居るのは誰だ、わかってんだぞ、隠れたって無駄だ、立ち去りなさい」
「オ、オイ、竜崎、おまえ誰に向かって言ってんだ」龍生は、いきなりの大声に、慌てながら、ベンに尋ねる。
「誰か居たのか?」竜人も聞く。
「いやまだ居ない」ベンが返事をする。
「なんだよ、まだ居ないとは、居たら大変だろう、だいたい、何んで、いきなり大声を張り上げているんだよ、驚かすんじゃねーよ、バーカ」龍生は少々驚かされたことに腹を立てていた。
「いや、ちょっと怖かったんでさ、もし誰かが居たとしても、脅かしておけば居なくなるかなと思ってさ」いい訳じみた口調で語るベン。
「バカやろう、こっちが驚くじゃねえか」江戸っ子ぽく、舌を巻いて言う、八王子っ子ではあるが。
「あっ! 今なんか人の影らしきものがリュウちゃんの部屋のほうに行ったんじゃないか?」竜人が突然声を張り上げた。
「オイ、よせよ、怖いこと言うなよ、またジーンの冗談が」龍生は背筋がゾクっとした。
「薄暗いな、そうだ明りをつけなきゃ、どうもさっきから暗いなとは思っていたんだ」ベンが明りを点ける、夕方からロビンソンの家に行ってたので、まだ明りを点けていなかったのである。 恐る恐る龍生は自分の部屋を覗きこんだ。
「誰も居ないぞ」少しホッとしたと同時に素早く部屋の明りを点ける。龍生は慎重に部屋の隅々まで見渡し、恐る恐る部屋に入りベッドの下、イーゼルに立てかけてある百号のキャンバスの裏、それとカーテンの端をつまみ勢いよく捲し上げる、誰も居ない。最後に部屋の隅に作った写真用の暗室の扉をゆっくりと開けて覗いたその瞬間。
「ウワアー! なんだ! なんだ!」いきなり、首筋に冷たいものが落ちてきた。
「ビックリした?」と軽くたずねる竜人。龍生が慌てて振り向くと、例によって、楽しそうな顔つきで立っていた。
「気持ち悪いな何すんだよ! 早く取り除いてくれよ、ふざけんなよ!」龍生は、突然の出来事に気も動転して腹立たしくなった。
「ただの濡れた台所のスポンジだって、冗談冗談」あまりにも血相を変えて怒っているのを見て、慌ててなだめようとする。
「いつのまに、そんなものを持っていたんだ、いいかげんにしろよ」
「そんな怒るなって、ちょっと冗談をしただけなんだから、リュウちゃんはすぐに本気で怒るんだから困るんだよな」竜人はスポンジを龍生の首筋から摘み上げながら。
「あっ! いまそこに何かが!」暗室の奥を指差して、声を張り上げた。
「エッ!」龍生は思わず飛び上がり、振り向いた。
「どこ、どこに何が! 何にも居ないじゃないか、あんまり驚かすな」
「いや、なんか居たかなっと思ってさ」竜人は、ニッと笑って言う。
「おまへ、また冗談か、いいかげんにしろ」
「さあ、もういいや、何にも無かったから、また食事の続きをしよう、オーイ! ベンソン戻るぞ」ベンは他の部屋を見て回っていた。
「オウ、わかった」ベンも何にも無かったらしく戻ってきた。
「あっ、なんだ! 今なんか動いたぞ」竜人が最後に台所のドアから裏庭に出ようとしたときである、何気なく部屋のほうを振り向きざまに声を張り上げた。
「オイオイ、またかよ、何回やれば気が済むんだよ、いいかげんにしろよな」呆れた眼差しで一瞥を与えた。
「そうじゃないよ、今度は本当に見たんだ、本当さ、何かが、サッと動いたんだよ、ウソじゃないよ、信じないのか? まっいいさ、ほんとなんだもんねぇ」まるで狼少年である。
〈なに、狼少年って、狼少年ケンか?〉〈何を間の抜けたことを言ってんだ、そんなこと決まっているじゃないか、いつも狼が来た狼が来たって、うそをついてると、本当に狼に変身してしまうっていう話さ〉〈それは違うだろう〉余談。
「誰か居たかい」ミセス・ロビンソンが尋ねた。
「いや、誰も居ないみたいです」龍生がすかさず答えた。
「おかしいね、あたしの見まちがいかな」
「いや、俺も見たよ」竜人が言った。
「お前のはウソだろう」すぐさまベンが否定する。
「ウソじゃないよ、ほんとに見たさ、そりゃ少しは冗談をして驚かしたりもしたけど、最後に見たのは本当さ」
「じゃあ、何を見たんだよ」龍生は多少疑ってはいたが、聞いてみた。
「少しボォーッとは、していたけど人影らしいものがスゥーッと動いていったように見えたんだけど、あれが何だったのかは解からないな、でもわりと小柄だったかな」竜人が真面目な顔で言う。
「あたしが見たのも、そんなだったよ」ミセス・ロビンソンがうなずきながら言う。
「夢見は前から金縛りにあったり亡霊に襲われたりとか言っているから、なんか変なものでもつれて来たんじゃないのか」「ああ、そうだ」竜人とベンは納得したような様子である。
「オイ! ふざけんなよ」と言ったものの、本当にそうなのかもしれないと不安になる。
「まあ、そんなこと考えてもしょうがないから、ビールでも飲もうか、ハッキリ、見たっていうわけでもないしな」竜人は、龍生の不安げな顔を見て急に明るく振舞おうとする。
「夢、あんまり気にするな、そんなもの居るわけ無いからさ。さぁ! 飲むか」ベンも、ちょっと気を使って。
「あっ、そうだ、もう一度乾杯でもするかい、おかしな事は忘れて楽しくパーティーだよ、いいね!」ミセス・ロビンソンも明るく盛り上げようとした。
「それじゃあ、カンパーイ」それからしばらくご馳走になり、ボブが帰ってくる前にパーティーはお開きとなった。 忘れていたが当然バイト代はそれなりにもらった。今回はお金ももらったし、ご馳走にもなったしで多少のことはいいとしよう。 でも、なんか気になるなぁ、何だったんだろう、本当に、なにか居るのかな? オオ、怖! 何無妙法蓮華経 何無妙法蓮華経。〈これで大丈夫かな?〉


一一  未知との遭遇につづく

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